『ミス・サイゴン』8/7 感想
『ミス・サイゴン』8/7 ソワレ 感想
『ミス・サイゴン2022』東京公演演千穐楽おめでとうございます!!
そして、今は大阪公演真っ只中!かな⁈
(千穐楽までにブログを上げられたら…笑)
まだまだ予断を許さない状況であるけれど、『ミス・サイゴン』チームが全力で作品を届けてくれていることに感謝しています。
そんな素晴らしいチームが創り上げた作品を観劇することが出来て、とても嬉しい!!
さて、だいぶ時間が経ってしまったけど、
やっぱり自分の心が動いた時ってずっと自分の中でキラキラ残ってて。
その気持ちを書き残しておきたいなと思って、またブログを引っ張り出していた。
『ミス・サイゴン2022』は全5回観劇!!
公演ごとに作品に受ける感じ方や考え方が自分の中で少しずつ変わっていたから、
1つにまとめようかなとも思ったけど、短くても分けて書いていこうと思う!!
(5本……書けるか???いや、書こう!!)
『ミス・サイゴン』8/7 ソワレ 感想
初めての帝国劇場、そして全編ミュージカル。
とにかく初めて尽くしだったから、本番前までずっとそわそわしてたと思う。
でも、幕が上がって一気にサイゴンの世界に入り込むことが出来た。
充希キムは本当に17歳の少女のようで、あまりにも純粋で、不安げで、壊れてしまうんじゃないかってほどに可憐で繊細だった。
クリスがキムをまるで月のようと例えるのだけど、高畑キムは月の中でも真っ白な月。
歌い方も本当に透き通るように綺麗だった。
充希ちゃんに会えたのは6月の『奇跡の人』以来で、この間まで熱く、泥臭いサリヴァン先生を観たばかりだったから振り幅が凄かった。
小野田クリスは凄く大人。それでも自分の無力さや痛みを背負っていて、身体はとても大きいのに中に秘める繊細さが感じられた。
キムとクリスはお互いに愛し合うようになるけれど恋愛というよりも、幼いキムをクリスが大きく包み込んで慈しんでいたように見えた。
キムもクリスと出会って少しずつ表情が色づいてきて、とても安心した表情でクリスに身体を預けていて、幸せそうで、すごく可愛かった。
クリスにとってもキムを愛して守ることが生きがいとなって救われていたのかもしれない。
結婚式のシーンで小野田クリスがキムのお祈りを真似っこしていて、可愛かった。
(ここのシーンはどのクリスも可愛かった笑)
充希キムと小野田クリスの「世界の終わる夜のように」は本当に幸せそのもので、
歌声もクリスに優しく導かれるように2人の歌声が重なって凄く綺麗だった。
「おいで!」と呼ぶクリスの広げた腕に真っ直ぐ向かって飛び込むキムがもう可愛らしくて、息を吸うように重ねるキスが美しくて、2人の世界が温かく色づいているようだった。
もう本当に2人が幸せそうだから、この後の展開が苦しいのよ……。
そして、タムという守るべき存在が出来たキムにもうあの頃の少女の姿はなくて。
タムへ向ける充希キムの表情が母そのもので、清らかで澄んだような声から低い声で力強く発する歌へのギャップが凄かった。
トゥイとの対峙はもう壮絶で、お互いの気持ちがすれ違ってドミノ倒しのような悲劇に突き進んでしまうのがもう辛かった。初見だったから竜巻のように駆け抜けていった印象の神田トゥイだったけど、強く激しい怒りの中にキムへの想いが伝わってきたからこそ苦しかった。
でもキムはあの頃の少女ではなく、もうタムの母親なんだよね。だからこそ、タムの命に何かあれば自分の命に代えてでも全力で守る。
タムを抱いて歌う「命をあげよう」は充希キムのタムへの愛が強く強く感じられて、
もうキムが自分の全てを腕の中にいる小さな我が子に与えているようで。
ファンクラブイベントやTVでの歌声は聴いていたけど、実際に物語の中で聴く歌はキムのタムへの想いが苦しいほど感じられて、
充希キムの歌声の力強さとか表情を見てもうぼろぼろに泣いてしまった。
初見だったから「キム、どこまで行ってしまうの......?」って思った。
少女から女性、そしてタムの母として必死に生きてきたキムだったけど、
それでもクリスが来ていることを知ったキムはまた少女だった頃の表情に戻っていて。
エレンとのシーンも、
タムの前では大人びていたキムがエレンの前ではもう感情が爆発してしまっていて。
歌よりも感情が先走ってしまうようで。
キムはまだ守られるべき子どもでもあると突き付けられたような気がした。
仙名エレンは優しくて、クリスの苦しみもキムの置かれた状況にも戸惑いながらもなんとか寄り添おうとしているようだった。
エレンのプロフィールはあまり作中では描かれていないんだけど、仙名エレンは多分良い家庭のお嬢さんのようなイメージ(予想)
クリスとエレン夫妻から見るとキムは全然子どもで、2人が苦しみから逃れるようにすぐに結論を出していくのが辛かった。
答えを出してしまえば光が見えてくるし、クリスもエレンも苦しみを抱えて生きてきたから苦しみから逃れるなとは言えないけれど。
でも、それでも光の無い世界で生きてきて、今でも夢を信じ続けているキムをずっと見てきたから、同じ結論に至ったとしても、もっと悩んで欲しかった、考えて欲しかった。
そして、エレンに出会う前にクリスと出会えていればと思ってしまった。
そんな中でも駒田さんのエンジニアの存在に少し救われていた部分があったかも。
エンジニアが出てくる度に会場の雰囲気が変わっていくのを感じて、
初見だったから「次はいつ出てくるんだろう....??」って少し楽しみになっていた。
「アメリカン・ドリーム」はこれは幻想だとすぐ分かるアメリカン・ドリーム。
エンジニアはアメリカに行けたのかな?って思うけど、駒田エンジニアはアメリカに行けてもあまり大成はしなかったのかなって思う。
そして、最期のシーン。
初見でラストシーンまでは知らなかったから、上手く状況が飲み込めなかったのだけれど。
クリスに抱かれたキムは少女だったあの頃に戻ってて、それでももう歌う力が残っていなくて、腕を伸ばそうとして事切れてしまって。
それを小野田クリスが力が抜けた腕を何度も何度も自分の首に回して、キムが潰れてしまうほど抱き締めていて涙がもう止まらなかった。
(他のクリスも見て、この最期は小野田さんスタイルだと判明)
まるで、また大切な宝物を壊してしまったように深い悲しみが感じられて。
キムのことが好きで、それ以上に大切で、守りたかったんだなって伝わって来た。
『ミス・サイゴン』はどの登場人物も完全に良い人や悪い人はいなくて、だからこそ「もしこうだったら...」とifを考えてしまう作品だった。
実際にはifなんてものはないのに。
それでも、母親以前に幼く子どもであるキムにもっと色んな選択肢があればと思った。
そして、選択の機会を与えられている自分がとても恵まれていることを感じた。
辛く苦しい作品だけれど力強い音楽とキャストの演技に魅了されて、出会うことが出来て本当に良かったなと思いました。
スマホのメモを引っ張りだしながらだったけど、これが初回の感想。
もうあまりの衝撃で、帰って放心状態だった……気がする(笑)
これがミュージカルの力。これが歌のパワー。
しかし、この日の2日後に再び帝国劇場に向かっているのだった……。
(『ミス・サイゴン』8/9 マチネ 感想に続く)